なぜ先物手口をチェックするのか
先物取引とは、予め価格を定めて将来のある時点での売買を約束する取引の事です。
取引価格が予め確定するため、価格変動リスクを抑えるために企業などがヘッジとして取引したりしますが、先物は流動性が高くコストも安いため、現物の代わりに取引をすることもあります。
現に先物だけで運用を行うファンドが多数存在していて、そういったファンドの投資行動が先物手口に現れることがあります。筆者は、日々の先物手口をモニタリングすることで、そういったファンドの売買動向を推測して、今後の買い圧力売り圧力を判断(しようと)しています。
このサイトでは日々先物手口の動向(日経先物・TOPIX先物・一覧)を公表していますのでぜひチェックしていってください。
先物手口の見方
先物手口を見る上でのポイントとしては
- ポジションの偏りがないか
- 継続するであろうフローがないか
- 過去と比較して大きすぎる手口がないか
を意識して見ることをオススメします。
①ポジションの偏りはないか
先物は期限があり、買いポジションであればいつか売り清算をすることになります。
もちろん期限である限月を乗り換える(先延ばしする)事は可能なので一概には言えませんが、極端なポジジョンの偏りは逆戻しのフローが発生する事があります。
特に損失を抱えてるポジションについては急激な巻き戻しと共に株価に影響が出る可能性がありますので、ポジションの偏りはとても重要なチェックポイントです。
②継続するであろうフローがないか
2つの視点があり、ひとつ目はCTAと呼ばれるトレンドフォロー型のクオンツファンドのフローをチェックするという目的。
ふたつ目は、世の中のファンドには1度にポジションを構築できず、毎日少しずつポジションを構築しなければならないファンドがあります。毎日同様の売買が続くため、そのフローを把握するという目的です。
前者は株価に遅れて発生するため見分けやすく、限度はありますが、基本的に株価の上昇が継続する限り続いて、株価の変動を後押しするフローになります。
2020年時点ではクレディ・スイスやモルガン・スタンレーの手口によく表れており、この2社はCTAを意識しながらチェックしてください。
後者は、月末月初などに表れやすいフローで、投資家の株価見通しの変更などを受けて発生するものと見ています。
毎日少しずつ同様の手口が積み上げられて、トータルで大きな資金が動くので、影響が出やすいです。
このフローは多数の証券会社の手口で出ていると思われますが、筆者はゴールドマン・サックスをチェックしています。ゴールドマン・サックスは動かすポジションもダイナミックでかつ量も大きいので、意識しておいた方が良いかと思います。
③過去と比較して大きすぎる手口はないか
重要なイベントの前日や、逆に何も材料がない日に、大きな玉が動く時があります。
株価は上がっているのに、とある証券会社で異常な売りが入っているなどのケースです。
こういう場合は短期筋の仕掛けの可能性があって注意が必要です。
現に2019年の米中の貿易問題の辺りでは、違和感のある手口の後にヘッドラインが複数ありました。(たくさんやられました…)
また、経済指標を事前に把握してるのではないかというゴールドマン・サックスの手口も要注意です。実際には数字が漏れているということは無いんでしょうが、FEDの高官はゴールドマン・サックス出身者が多い傾向があり、ある程度精度の高い予想が出来るのだと思います。
といった視点で普段見ております。もちろんこれ以外にも様々なフローが入っていますので、すべてカバーすることはできないですが、投資判断の一助としてチェックすることは必要だと考えています。その際にはぜひ上記のような視点を参考に手口をチェックしてみてください。
グラフの見方
日経平均先物・TOPIX先物別に集計しておりますので各ページをご覧ください。また、手口については手口一覧にて、各先物まとめて掲載しております。
日経平均(右軸:円):日経平均株価指数の推移を掲載。
建玉(左軸:枚):棒グラフにて限月ごとの先物建玉の推移を掲載(ミニはラージ換算にて表示)。合計値を赤線にて表示しています。
基本的にこの赤線を日々追っていけば事足ります。たまにガラッと動く時がありますが、その際は限月交代などの特殊要因でないかなどを各限月の推移を見て確認してます。
参考:手口データソース
毎日JPXのホームページに掲載される取引参加者別取引高(手口)を各証券会社ごとに集計※。日々の手口の積み上げにより先物保有枚数(建玉)の推移を推定して掲載しています。建玉は毎週初に開示される取引参加者別建玉残高一覧を反映。日経先物(ミニは1/10倍でラージ換算)、TOPIX先物別に掲載しています。
※日中取引・ナイトセッション合計(J-NET含む)